蕎麦屋さんで注文すると「なんか数が違うんじゃない?」なんて思った人もしますよね。
もりを1枚に天せいろ2つお願いします。
なんて頼むと蕎麦屋さんではこのように言います。
お願いします。もり付3杯天せいろです。
あれ?天せいろ3枚???
こんな感じに疑問に思うかもしれませんが「蕎麦屋の通し言葉」なんです。
この記事を読んで「蕎麦屋の通し言葉」を知ることで、アナタも今日から蕎麦通に一歩近づけます。
蕎麦鑑定士1級所持の調理師が書いています。
蕎麦屋を20年以上働いています。


そもそも蕎麦屋の通し言葉ってなんで使うの?


オーダーを流す際に、お蕎麦やさんが使う独特な言葉を「符丁」とか「通し言葉」と言います。
花番さんが話す通し言葉は、手早く厨房にお品書きを伝えることが目的です。
同時にお客様に分からないようにする合図「隠語」としても使う事があります。
よくあるサービス業の「4番お願いします」なんてのが隠語ですよね。
蕎麦屋さんでも迅速かつ、様々な合図を送るために作られたのが 「符丁・通し言葉」なんです。
では実際に「どんな通し言葉」があるのかを解説したいと思います。
14の通し言葉とその意味


蕎麦屋さんの通し言葉をあげると次のようになります。
つき・まじり・かち・と ・まく・おか・きん・さくら・お燗付・総うどん・台かわり・おこわいところ・お声がかり・かんばん
1つずつ解説していきます。
つく
「つく」は1個の意味です。
「もり付き三杯かけ」
もりが1枚かけが2杯と言う意味になります。
全部で4つにはならない所が通し言葉の特徴です。
お客様から「1こ注文がまちがっている!!」なんて思うのは隠語だからです。
まじり
「まじり」は2個の意味です。
「おかめまじり7杯とじ」
おかめが2つにとじが5つ と言った注文になります。
かち
2種類の品物が奇数・5個以上で、片方が1つ多い場合に使う言葉になります。
「天ぷらが勝って七杯かも」
天ぷらそば4杯、鴨南蛮3杯になります。
数が多いメニューを先に言いいます。


と
「と」はメニューが同じ数の偶数で使う言葉です。
「おかめと鴨で4つ」
おかめ2つ、鴨2つの4つとなります。
まく
3種類以上の御注文で、ご一緒のお客様の時に使います。
「天せいろつき3杯おかめ、まくでもり1枚」
天せいろ1枚におかめが2杯にもりが1枚の意味です。
おか
「おか」は別盛りにして出すことを指します。
天ぷらそば「おか」で。
天ぷらそばの中に天ぷらは入れず、別にだしてきます。
「岡に上がる」と言う意味を想像させます。


きん
「きん」はお蕎麦の量を少し増やして出すことを意味します。
もり「きん」で
昔は通し言葉を使って内緒で出していたみたいですね。
さくら
「さくら」は「きん」とは逆に少なめに出すことです。
おかめ「さくら」で
「さくら」のイメージが綺麗なので「女性がおしとやかに食べるため」に、少なめにと言った意味合いにもなります。
お燗付
「お燗付」はお酒のことです。
もりにお燗付
もりそばとお燗が出てきます。
江戸時代のお酒というと「お燗」が一般的でした。
お銚子一本つけてなんて言葉もありますが、蕎麦屋さんではお燗だったようです。
総うどん
総うどんは「お蕎麦は無く全部うどんで」という意味です。
いちいち「○○うどん」って言わなくて簡略化できます。


台かわり
台変わりは「通常うどんで出す物を蕎麦で出す」ことです。
例えると、かき玉やカレーは「うどん」で出すものをお蕎麦に変えるからです。
おこわいところ
「おこわいところ」はもり2枚で注文した物など、1枚食べ終わる頃にだすことです。
1人でもり2枚を食べる際に「同時に出されると」1枚が伸びてしまうからです。
江戸っ子の粋として、こだわる事から「おこわいところ」と言って別々に出すようにしています。
お声がかり
「お声掛かり」は多種類の注文で、後ほど提供する品物の事を言います。
例えば「熱燗1本、お声掛かりでもり1枚」
お酒などを飲んでいて、〆のそばは「声がかかってから」茹でて出すと言う意味 になります。
かんばん
「かんばん」は店じまいの事を意味します。
「閉店時間です」と言うところを「かんばんです」とお蕎麦やさんでは言います。
まとめ


いかがでしたか?
耳慣れぬ言葉も理解して聞くと、新しい発見に繋がりますよね。
是非ともお蕎麦屋さんに足を運んで、注文の言葉を改めて聞いてみましょう。
蕎麦屋の通し言葉「思い・心意気・先人の知恵」から生まれた専門用語のお話でした。
お読み頂きありがとうございました。
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